凛の趣味アトリエ

趣味で創作したものを少しづつ書いていきます

【小説】学園バトルロワイヤル!【3話】

ーー…年1組 石井 瞬《イシイ シュン》】
『ハイ!』

元気な男性の声にハッとする。
先ほどの声の主が壇上に上がる。
その後、次々と名前が呼ばれ、何人かが壇上に並び始める。

壇下では男子と女子が分かれて交互に列になって座っている。


【ーー3組仙石 陣《センゴク ジン》】
『ハイッッ!!』
後ろからひときわ大きな声が響いた。
それに反応してか笑い声が聞こえる。
その陣と言う男性は、手を大きく振り、自慢気に行進しながら壇上に上がる。

陣は壇上の最後尾についた。

 

並び終えたのか壇の奥にいる初老の男性にマイクが切り替わる。
最初に呼ばれた石井という男性が壇前に移動する。
【えー、あなたは本校の持久走大会において優秀な…】

どうやらマラソン大会の表彰のようだ。
自分に関係の無い朝礼ほど眠いものは無い。
だが、うまく寝ないと体育館の端にいる先生に叩かれそうだ。

次々と賞状が渡されていく。

【ー以下、同文。】
【ありがとうございます!!
キーーーン
ーブチッ】
仙石陣だ。

マイクにまで入るその声はハウリングを起こしたようだ。
放送室の人がマイクを切り、妙な静けさが漂う。

幾人かの人が空気に耐えかねて笑い出す。

 

始まった笑い声は次第に大きくなる。

自分も思わず笑ってしまった。
ふと、横の女の子が話しかける。
『笑っちゃっ、可哀想だよ。』
そう言いながらも横の女の子は笑いに堪えているのか顔が赤い。
「大丈夫だよ。陣はあーゆうやつだから。」

壇上を見ると陣は優越感からか全く気にしていない様に見える。

体育館の端にいた先生たちが『静かにしろ』と笑い声を止めさせる

(平和だなー)
いろいろな状況下にある世界を見てみるとものすごく平和だと思えてくる。


【アー、アー、あっ!、
えー、以上10名に盛大な拍手をお願いします】

マイクが回復したようだ。

 

【続きまして、女子の発表を…】

男子の発表が終わってから、ようやく静かになってきた。
屋根に雨の当たる音が聞こえる。
雨が降り始めていたようだ。

『まじかよ。せっかくサッカー楽しみにしてたのに、天気予報うそじゃねぇか』
すぐ後ろの男子がつぶやく。


二階の窓を見ると黒い雲が見える。
雨が強くなる。
大雨になりそうだ。

【ー3組今宮 凛《イマミヤ リン》】
『ハイ』
女子が立ったことで、見上げていた方向が遮られる。

女子が動き始めるとまた窓に目をやる。

(ーー?)
一瞬窓の外に素早く黒い影が通った気がした。

早く流れていく黒い雲を見ているとどうやらそれを見間違えたようだ。
(寒いな…)

肌寒くなってきている。
この季節は衣替えが待ち遠しい。